宮崎県高鍋町は、東京から飛行機で約1時間30分。宮崎空港から車でも電車でも約50分のところにあります。江戸時代には秋月氏が治める城下町だったことから古い歴史があります。近年では県内でも有数のサーフスポットである蚊口浜にはサーファーが集まり、上質な肉や、近海獲れの魚介類などを使った美味しい食事処も小さな町の中にぎゅっと詰まっています。
今回は、そんな高鍋町の見どころを町に詳しい友人にアテンドしてもらい、私クエルボがご紹介します。
高鍋駅
木造のレトロな雰囲気漂う 貴重な町の玄関口
高鍋駅は車でも電車でも、空港から約50分程度。高鍋町の中心部からは2㎞ほど離れた、海岸近くに位置しています。高鍋駅は1920(大正9)年に開業。2020年(令和2)年には、100周年を迎えました。駅舎は1947(昭和22)年に建てられたもので、昭和のレトロな雰囲気を残しています。この駅の魅力を再構築するため、高鍋町が駅舎を購入。駅と周辺が地域の人にとってワクワクするような目的地となるようにリノベーション計画も進行中です。
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高鍋町は、知る人ぞ知る江戸時代の名君として知られる上杉鷹山を輩出したところなんですよ。とはいえ、今回はそんな難しいことはさておいて、高鍋に詳しい人にアテンドしてもらって、観光とおいしいものを楽しみます!
蚊口浜
南北に長いビーチでは 海水浴にサーフィンいろいろ遊べる
高鍋駅のすぐ裏手に伸びる道を進むと、蚊口浜という地元の人が海水浴やサーフィンを楽しむビーチが広がります。高鍋のビーチは、県内はもちろん西日本でも有名なサーフスポットでもあり、休日には多くのサーファーが波乗りを楽しんでいる姿が見られます。
大会も開催されており、地元サーファーがガイドを務めるサーフツアーも好評です。一年を通して多くのサーフィン客が訪れています。
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私が訪ねた時は週末だったこともあり、多くのサーファーが波乗りしている姿を見ることができました。海は水質がきれいなことでも知られており、夏は海水浴を楽しむ家族連れでにぎわいます。すぐ近くにはキャンプ場もあり、潮騒を聞きながらのキャンプも好評ですよ。
本家たかしま
毎日蚊口浜で獲れる天然牡蠣を さまざまな食べ方で贅沢に
創業時から目の前に広がる蚊口浜で海に潜って獲ったカキで定食やコースを提供しているのが「本家たかしま」です。カキの漁期は12月から5月ぐらい。期間中は、毎日午前中に店主の高島順治さんが蚊口浜へ漁にでかけるのだそう。ただし、シーズン中でも海の状況によっては無いこともあるようです。
天然だからこそ、身が締まっていて貝柱が大きいのが特徴です。また、一番おいしいのは海の栄養をしっかり身にため込む3月、4月だと教えてくれました。
今回は酢ガキ、串焼き、焼きガキ、カキフライ、カキご飯、カキのお吸い物が並ぶミニコースを注文しました。
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私はこれまでカキの食感や味が苦手だったんですが、ここのは本当においしいです。しかも、これまで食べた貝類のなかでも断トツでおいしいと思います。ここのカキは絶対食べに来るべきです!
高鍋大師
個性的な石像700体と 太平洋を一望できる大パノラマ
カキのミニコースでお腹も満たされたので、観光スポット「高鍋大使」に向かいます。高鍋大使は、故岩岡保吉翁が持田古墳群に隣接した一帯の土地を購入して開山したものです。四国巡礼したことをきっかけに、高鍋に八十八カ所の霊場をつくることを決意。霊場を刻んだ八十八体の石像が斜面に設置されており、高鍋にいながら四国の霊場巡りができます。
その後、岩岡氏は持田古墳の盗掘に心を痛めて、古墳の霊を慰めるために大小700体の石像を作りました。
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石像の数に圧倒されますが、ユーモラスな姿のものもあって一つ一つ見ると面白いです。ここから太平洋を一望でき、眺めも抜群。天気の良い日に来てほしいスポットです
舞鶴神社
高鍋城跡の歴史を残す 地域の人の祈りの場所
1587(天正15)年、秋月氏が筑前の国(現在の福岡県甘木市)より移り住んだ際、秋月種長が八幡宮をはじめ、白山神社、天満宮、財部大明神、城主大明神の五つの祭神を、高鍋場内に祀ったのがはじまりです。
明治に入り、廃藩置県にあたって、地域住民の総意によって一社に合祀し、城名にちなんで「舞鶴神社」と名付けました。以降戦勝祈願などさまざまな願い事をかなえるとして厚く敬われています。
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舞鶴神社は、高鍋藩秋月氏の居城『舞鶴城跡』にあります。江戸時代には実際にお城がありましたが、今は石垣や石段を残すのみです。しかし、残された石垣などから歴史の面影を感じることができますよ
日向利久庵
築100年以上の古民家で 和菓子作りを体験
宮崎県の美郷町の栗を主に、国産の栗を使ったさまざまなお菓子を提供しているのが「日向利久庵」です。特に栗を丸ごと使った栗利久や、なめらかな口当たりの栗きんとん・黄樹といった上品な和菓子が人気です。
お店は昭和初期に建てられた古民家を利用しており、販売しているお菓子をオリジナルブレンドのお茶やコーヒーと一緒に楽しむこともできます。
そんな素敵な雰囲気のお店で和菓子作り体験ができるそうです。
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今回は『練り切り』作りを体験しました。手の動かし方が難しかったです。作った後は抹茶と一緒にいただきましたが、1時間かけて作ったお花が一瞬でなくなったのは少し悲しかったです。でもおいしさにその悲しさもすぐ忘れてしまいました
小澤治三郎邸
地域の歴史的遺産でもある 築150年の古民家で非日常を楽しむ
本日の宿は、築約150年の古民家・小澤治三郎邸を宿泊施設にしたものです。日本海軍最後の連合艦隊総司令官の生家で、町としても後世に伝えていきたい歴史的遺産である屋敷を、当時の趣を残しながら宿泊ができるように改築しました。
昔ながらの梁や柱を生かし、家具類は雰囲気を壊さないような上質なものを使っています。2階建ての建物で、2階に和室と洋室の寝室があります。
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いかにも日本の古い家屋という雰囲気で、古い掛け時計がかかりゆったりと時間が流れるような独特の雰囲気があります。檜風呂がある浴室も素敵です。檜のいい香りに包まれて入浴が楽しめますし、贅沢な気分に浸れます。
餃子の馬渡
厚めのもっちり皮が特徴 通販でも人気の品をお店で
高鍋のお薦めの夕食を駆け足で巡ります。まずは餃子の町・高鍋の餃子人気をけん引する「餃子の馬渡」へ。毎朝2種類の粉をブレンドし、その日の気温や湿度をみて分量を変えて仕込む厚めの皮が特徴です。
もちもちの食感が自慢の皮に、キャベツ、ニラ、玉ネギ、ニンニクに豚と牛の合い挽き肉で作った餡を包んでいます。
お店では、焼き、揚げ、水の3種類から好みの調理法を選んで食べられますが、店のお薦めは焼き。自社で炊きだした自家製ラードをたっぷり使って揚げ焼きで仕上げます。
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カリッともちっとした食感が独特でおいしいです。通販でも買えますが、お店で生の餃子から調理されたものを食べるのは格別です。このできたてのおいしさを味わいに、ぜひお店に足を運んでほしいです
和みどころ みなもと
港で仕入れた新鮮魚が自慢 宮崎の郷土料理など幅広く
隣町である川南町の通り浜漁港で毎日仕入れる魚を使って料理を提供しているため、魚がおいしいと評判のお店。魚料理はもちろん、宮崎牛や鶏の炭火焼など宮崎ならではの料理も並びます。
日本酒や焼酎の種類も多く、鮮度抜群の魚とお酒を楽しむために、地元のお客さんが通います。
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魚を扱った料理がとにかくおいしいと聞いて、今日はアジフライと金フグの南蛮、お刺身の盛り合わせを注文しました。アジフライはお刺身にしても良いぐらいの鮮度の良いものを使うそうで、肉厚でふわふわの食感。また、冬場の旬の時期だけ味わえる金フグを使った南蛮は、魚とは思えない弾力と淡白な味わいです。お刺身にも金フグが入っています。鮮度が良いからでしょうか、びっくりするおいしさです
Bar梵
地元の人がふらりと立ち寄る 名物店主が営むショットバー
お腹がいっぱいになったので、最後は地元の人がふらっと立ち寄っていくショットバーで終わりにしたいと思います。毎日さまざまな人がマスターの久本篤司さんの顔を見に集まり、何気ない会話を楽しみにしている人も多いのだとか。
ウイスキー、リキュール、ジン、テキーラなどのスピリッツから、カクテルまで提供しています。おいしいお酒を提供するために、製氷機の氷を使わず、ロックの氷はマスターが手で削ったものを使っています。
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今日一日の最後にぴったりですね。カウンターとテーブル席一つだけのこぢんまりした空間が落ち着きます。氷をアイスピックで砕いてくれるのも本格的です。
最後に・・・
高鍋にはまだまだおいしいお店や楽しいお店がたくさんあります。今日は駆け足でまわりましたが、本当なら2,3日かけてゆっくり時間を掛けて食事や雰囲気を堪能したいです。高鍋は宮崎の真ん中ぐらいの位置。観光の拠点として宿泊場所にして、高鍋ならではの食をじっくり味わってください。皆さんも高鍋での良い旅をぜひ!